製品の機密性や安全性を高めるうえで大切なのがシュリンク包装です。
大量生産が可能で、幅広いパッケージデザインにも対応できるため、食品業界やコスメ、出版業界など、さまざまな業界で導入されています。
この記事では、シュリンク包装の役割やメリット、種類、設備などについて詳しく解説します。
シュリンク包装の役割
シュリンク包装とは、製品をプラスチックフィルムで包み、熱を加えてフィルムを収縮させることで、製品に密着させる包装方法です。
シュリンク包装を採用することで、製品を外部の汚れや湿気から保護し、破損・損傷を防止できます。
また、透明なフィルムを使用すれば製品の視認性が高まり、消費者側から見た安全性が高まります。
シュリンク包装を採用するメリット
シュリンク包装を採用する主なメリットは以下の通りです。
それぞれのポイントを解説します。
デザイン性に優れている
シュリンク包装を採用するメリットの1つとして、デザイン性に優れている点が挙げられます。
シュリンク包装であれば製品の形状に合わせてフィルムが収縮するため、製品の形をそのまま活かした美しいデザインでの広告PRが可能です。
例えば、表示面積の広さを活かしたブランドロゴや製品情報を直接表示したPR手法が確立されています。
シュリンク包装を採用することで、優れた透明感と光沢性鮮やかな多色印刷ができ、商品の魅力を最大限に引き出すことが可能です。
製品の機密性が保たれる
シュリンク包装を採用するメリットとして、製品の機密性が保たれる点も挙げられます。
シュリンク包装はフィルムが製品に密着するため、製品の機密性を高める効果があります。
例えば、製品を外部の湿気や汚れから守れますし、開封されたかどうかも一目で分かるため、消費者にとっても安心感があります。
製品の機密性が保たれることは、製造者と消費者、どちらにとっても大きなメリットと言えるでしょう。
直射日光や熱から保護できる
シュリンク包装なら、製品を熱や直射日光から保護できます。
シュリンク包装の中には紫外線カットや耐熱性に優れたフィルムを入れることができ、製品の機密性のキープが可能です。
例えば、食品や化粧品など品質保持が重要な製品の包装に紫外線カットや耐熱性に優れたフィルムを使用することで、製品を腐敗や劣化から保護できます。
このように、シュリンク包装は安全性が特に求められる食品などに有効です。
シュリンク包装の主な種類
シュリンク包装は形状や包装のメカニズムによって以下の種類に分けられます。
ここでは順に解説していきます。
ピロー包装
ピロー包装は、枕のように製品を袋状のフィルムで包む包装方法です
デザイン性を持たせることができ、簡単に開封できる点が特徴として挙げられます。
やわらかな包装で機密性と衛生面が保たれ、デザイン性とも両立させやすいため、カップ麺や紙パックのお酒、お菓子や冷凍食品など幅広く使用されています。
L型シュリンク包装
シュリンク包装の主な種類として、L型シュリンク包装があります。
L字型のフィルムシーラーを使用して、製品の角に沿って形で包む方法です。
小型から中型の製品、箱物の包装に適しており、家電製品や書籍、化粧品などでよく使用されます。
Rシールシュリンク包装
Rシールシュリンク包装は円形のフィルムシーラーを使用して、容器の底面以外を包む方法です。
底面のみシュリンクされないことが特徴で、円筒形の製品やボトル製品に適しています。
ラベルシュリンク包装
ラベルシュリンク包装は、製品のラベル部分だけをシュリンクフィルムで包む方法です。
ラベルの表示範囲を広げられ、見栄えが良くできる点がメリットとして挙げられます。
ボトル飲料や菓子パンなど、ラベル部分をより目立たせたい製品の包装に便利です。
キャップシュリンク包装
キャップシュリンク包装は製品のキャップ部分をシュリンクフィルムで包む方法です。
キャップ部分がシュリンクフィルムによってしっかりと包装されるため、ボトル飲料など、未開封であることを視覚的に表したい製品に採用されています。
シュリンク包装の設備
シュリンク包装の専用設備には、主に以下の2種類があります。
ここではそれぞれの設備について、メリット、デメリットも併せて紹介します。
トンネル方式
トンネル方式のシュリンク装置は、製品をトンネル状の加熱装置に通過させることで、フィルムを収縮させる方式です。
メリット
- 大量生産に適している
- 細かな熱量調整ができる
- ドライヤー式と比較してシュリンクのムラが少ない
デメリット
- 導入コストが高く約10万円から
- トンネル内に入る製品以外対応できない
- 機械が大きい
トンネル方式は大量生産に適しており、まとまったロットで生産する製品の包装に利用されています。
ドライヤー方式
ドライヤー方式のシュリンク装置は、製品に直接温風を当ててフィルムを収縮させる方式です。
メリット
- 導入コストが低い
- 少量生産に適している
- トンネル式に対応していない製品や形状が複雑なものに対応可能
デメリット
- 作業時間がかかる
- シュリンクにムラが出る
- 風量の調整ができない機械が多い
ドライヤー方式では製品1つ1つに温風をあててシュリンクさせるため、加工時間がかさみますが、デザインの幅が広い点がメリットです。
また、数千円単位のコストで導入できるため、少量生産がメインの小規模な工場で主に採用されています。
シュリンク包装機の選び方
シュリンク包装機の導入の際には、以下の点に注意が必要です。
ここでは、シュリンク包装機導入時の主なチェックポイントを見ていきましょう。
稼働速度
稼働速度は、設備導入のコストパフォーマンスを大きく左右する要素です。
特に、大量生産を行うロットの場合は、高速で稼働する装置を選ぶことで長期的な生産性が高まります。
導入コスト
シュリンク包装を選ぶうえでの重要なチェックポイントとして、導入コストが挙げられます。
導入コストには初期投資費用だけでなく、長期的なランニングコスト、メンテナンスコストも含まれます。
初期費用は多少高かったとしても、ランニングコストや故障率が低ければ長期的な費用対効果が高まるでしょう。
このように、新しい設備の導入では長いスパンでのコストシミュレーションが重要です。
安全性
長期的な安全性もまた、包装機導入ではずせないチェックポイントとして挙げられます。
シュリンク包装では製品に熱や圧力をかけるため、作業中のケガのリスクがつきまといます。
故障率の低い包装機を選んだり、メンテナンスを徹底したりすることで従業員の安全性確保が可能です。
寿命
包装機の寿命は、メンテナンスの頻度や交換部品のコストに影響します。
一般的に、包装機の寿命は新品で15年~20年、中古で10年前後です。
安価な中古品であっても、定期的なメンテナンスを丁寧に行うことで長い期間にわたって安全に使用できます。
シュリンク包装が導入されている業界
シュリンク包装はすぐれた包装技術としてさまざまな業界で導入されています。
ここでは主に以下の事例を御紹介します。
通販業界
通販業界では、輸送中の製品保護や視認性を高めるためにシュリンク包装が利用されています。
例えば、ダンボールと製品を一緒にシュリンクすることで、緩衝材の削減と補強性が期待できるでしょう。
業務スーパー
業務スーパーでは、大量の商品を効率よく包装し、運搬できるためシュリンク包装が利用されています。
例えば、6本入りのペットボトルや3個入りのヨーグルトなどさまざまな商品に対応できる点が魅力です。
出版業界
出版業界では、書籍や雑誌の保護や購入前の閲覧を防ぐためにシュリンク包装が使用されています。
まとめ
シュリンク包装を導入することで、製品の機密性、安全性を向上させられます。
また、包装のバリエーションも幅広いため、食品や化粧品など、パッケージのデザイン性とも両立可能です。
包装の種類や主力製品、コストパフォーマンスを比較検討したうえで、収益性の高い包装機を導入しましょう。