スーパーやコンビニに並ぶ、色とりどりのパッケージに入った商品は「食品包装機」によって包装されています。
食品包装機は、食品の品質と安全を守るうえで欠かせない設備です。
この記事では、食品包装機の役割や主な種類、導入コスト、そして導入時の注意点まで、実例をまじえつつ解説します。
食品包装機の役割
食品包装機は、コンビニやスーパーなどに出荷される食品を袋詰めにする設備です。
かつては手動の食品包装機も普及していましたが、効率化が優先される今では自動包装機が主流になっています。
食品包装機の役割は、単に食品を包むだけではありません。
食品の鮮度や風味を保ち、品質を維持するだけでなく、外部からの細菌や異物の侵入を防ぎ、安全性を確保することも大切な役割です。
さらに、消費者の目を引く魅力的なパッケージデザインも、食品包装機によって実現されています。
たとえば、スナック菓子の袋には、パリッとした食感を保つための特殊なフィルムが使われていますし、レトルト食品のパウチには、高温高圧に耐えられる素材が採用されています。
このように、食品包装機は、それぞれの食品に最適な包装方法で、食卓を豊かにしてくれています。
食品包装機の種類
食品包装機の主な種類は以下の通りです。
ここでは、それぞれの特徴を見ていきましょう。
自動包装機が主流
現在、食品包装の現場では自動包装機が主流です。
自動包装機は、高速で大量の食品を包装できるため、生産性の向上に大きく貢献します。
横ピロー包装機
横ピロー包装機は、製品を水平に搬送しながら包装するタイプの包装機です。
フィルムを筒状に形成し、製品を包み込むようにして包装します。
固形物やトレーに入った製品など、安定した形状の製品の包装で主に採用されています。
横ピロー包装機にも、正ピロー包装機と逆ピロー包装機の2種類があります。
正ピロー包装機は、フィルムの合わせ目が製品の下側になるように包装する方式で、逆ピロー包装機は、フィルムの合わせ目が製品の上側になるように包装する方式です。
縦ピロー包装機
縦ピロー包装機は、製品を上から「ポトン」と落とし込むようにして包装するタイプの包装機です。
フィルムを筒状に形成し、製品を充填した後、上下をシールして包装します。
粉末や顆粒、液体など、流れやすい製品の包装で主に採用されています。
縦ピロー包装機には、間欠式と連続式の2種類があります。
間欠式は、ひとつずつ製品を包装する方式で、少量多品種の生産に向いています。
一方、連続式は、製品を連続的に包装する方式で、大量生産に最適です。
ストレッチ包装機
ストレッチ包装機は、ストレッチフィルムによって荷物や商品を包装するための設備です。
幅が広く伸縮性のあるストレッチフィルムを活用することで、体積や硬度のある製品でも安全にまとめて包装し、汚れや傷から保護できます。
ストレッチ包装機は主に、高さがあり荷崩れしやすい商品および荷物の梱包に使われています。
食品包装機導入のメリット・デメリット
食品包装機を導入することで生産性向上やコスト削減などのメリットが得られます。
一方で、初期費用やランニングコスト、安全面での考慮が必要です。
ここでは、食品包装機導入のメリット・デメリットを解説します。
メリット
食品包装機導入による主なメリットは以下の通りです。
それぞれを詳しく見ていきましょう。
生産性向上
食品包装機の導入によって製品の出荷作業が大幅に自動化されるため、長期的な生産性向上が期待できます。
単位時間あたりの生産量が自動化によって大きく向上するため、利益の増加が見込まれるでしょう。
また、手作業とは異なり一定の生産量が確保できるため、数年単位での安定したロット管理が可能です。
コスト削減
食品包装機の導入は大幅なコスト削減につながります。
特に、包装作業にあたる人件費が大きく削減できるため、コスト面での業務効率化が可能です。
単に人件費を削減するだけでなく、余剰として得られた資金を新たな設備投資に転換することでさらなる収益性向上が見込めます。
品質の安定化
包装作業を自動化することで製品の品質が均一化し、長期的な顧客満足度の向上につながります。
手作業だと集中力の低下や従業員のスキルの違いによってどうしても品質のムラが生じてしまいますが、食品包装機であれば同じクオリティの製品をコンスタントに生産可能です。
定期的なメンテナンスやトラブル対応をシミュレーションすることで、さらに安全性を高められます。
労働環境の改善
食品包装機の導入は労働環境の改善にも効果的です。
作業の自動化によって従業員の労働負担が軽減できるため、ひとりひとりの働き方改革につながります。
また、長時間作業を是正することでヒューマンエラーを防止でき、製品のクオリティ向上が可能です。
デメリット
食品包装機の導入にあたっては、導入コストや故障リスクなどの面で懸念があります。
ここでは、包装機の導入前におさえておきたい主なデメリットを見ていきましょう。
初期費用が高い
食品包装機の導入コストは、機種や機能、メーカーによって大きく異なります。
シンプルな卓上型の包装機であれば数十万円程度から購入できますが、高機能な自動包装機になると数百万円から数千万円かかることもあります。
導入コストだけでなく、ランニングコスト(フィルム代や電気代など)やメンテナンスコストも考慮することが大切です。
「初期費用は安くても、ランニングコストが高くて結局損をしてしまった」なんてことにならないよう、長期的な視点でコストを比較検討し、自社の生産規模や予算に合った機種を選びましょう。
機械の故障リスク
食品包装機を導入するうえで検討すべきなのが故障リスクです。
基本的に、食品包装機は10年単位で稼働させられますが、寿命には個体差が大きく、また、メンテナンスの状態によっては短い期間で故障が発生してしまう可能性もあります。
定期的なメンテナンスによって故障リスクをコントロールするとともに、トラブル時の対応を日頃からシミュレーションすることで故障した場合の被害を最小限におさえられます。
包装形態の変更が難しい場合がある
食品包装機を導入すると製品のクオリティが均一化される反面、デザインの変更が難しくなる点がデメリットとして挙げられます。
また、製品の大幅な変更にともなって食品包装機そのものを入れ替える必要があるため、長期的なコストシミュレーションが必要です。
食品包装機の導入コスト
食品包装機の稼働にかかわる主なコストは以下の通りです。
機械本体価格
食品包装機の本体価格はサイズによって異なります。
一般的に、小型~中型の包装機は本体価格のみで数百万円、大型包装機の場合は数千万単位が相場です。
工場の規模や生産ラインに合わせた包装機を導入することでコストの適正化が可能です。
設置費用
食品包装機の設置費用は小型~中型で1台あたり50万円前後、大型のもので100万円~500万円が一般的な相場です。
作業費用の低い業者に依頼することで設置費用を削減できるため、業者選びの段階でシミュレーションしておきましょう。
メンテナンス費用
食品包装機の導入後は半年~1年に1度のスパンでメンテナンスが必要です。ほとんどの場合、包装機のメンテナンスは専門の業者に委託します。
委託料の低い業者を選んだり、メンテナンス費用がかさむ古い包装機を早めに入れ替えることで長期的なメンテナンス費用を削減可能です。
ランニングコスト
食品包装機を導入する場合、長期的なランニングコストのシミュレーションも大切です。
ランニングコスト(フィルム代や電気代など)やメンテナンスコスト、さらには導入後の生産効率向上による利益なども考慮しつつ、総合的なコストパフォーマンスによる判断が求められます。
食品包装機導入時の注意点
食品包装機の導入にあたっては、長期的なコストパフォーマンスや安全性、製品との相性を考慮する必要があります。
ここでは、食品包装機の導入における注意点を見ていきましょう。
コストパフォーマンスを考える
食品包装機にかぎらず、大規模な設備投資ではコストパフォーマンスが重要です。
どんなに高性能の包装機をコストをかけて導入したとしても、コストパフォーマンスが長期的に見合っていなければ意味がありません。
直接的な収益だけでなく、ランニングコストや故障率、メンテナンス費用などを包括的にシミュレーションしたうえで、事業規模に合った包装機を選びましょう。
安全性を重視する
食品を扱う機械だからこそ、安全性は何よりも重要です。安全装置がしっかりと装備されているか、衛生的な設計になっているか、などが主な評価基準として挙げられます。
衛生面だけでなく、生産にあたる従業員のケガのリスクなど、総合的な数値を加味したうえで、長期的に安全が見込める機種を選びましょう。
万が一のトラブルに備えて、サポート体制が充実しているメーカーを選ぶことも大切です。従業員の安全を守ることはもちろん、消費者に安全な食品を提供するためにも、安全性は妥協できない要素です。
製品との相性を優先する
食品包装機を選ぶ際は、包装する食品の種類や形状、包装形態に合った機種を選ぶことが重要です。
食品包装機は種類によって得意な製法があり、商品に合わせた機種を選ぶことで生産性・安全性が向上します。
たとえば、柔らかいパンを包装するのに、固いプラスチック製の容器を使うことはナンセンスですよね。
包装機の本格導入前には一定期間デモを行うことで安全性がシミュレーションでき、長期的な生産性向上につながります。
まとめ:最適な食品包装機で食品製造の効率化を!
今回は、食品包装機について、その役割や種類、導入コスト、導入時の注意点などを詳しく解説しました。
食品包装機の導入によって、生産性向上や労働環境改善など、さまざまな効果が得られます。
導入にあたってはランニングコストやメンテナンス費用を長期的にシミュレーションしたうえで、事業規模に見合ったものを選びましょう。